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終戦のエンペラー

風勃ちぬと同じ日に見ました。
先にエンペラーを見て後の時間帯に風勃を見たのだけど、特に双方が影響しあって印象が変るって事はなかったな。

あまり語ることはないです。非常に丁寧に作られた良作です。敗戦後、厚木に降り立ったマッカーサーが昭和天皇と会見をするまでの話です。

メインになるのは日本再興政策を任されたマッカーサーが天皇をどう扱うかの為に、戦争責任の有無を確認すべく、証言者と証拠を探す部分です。
実際に奔走するのは親日家と自他共に認めるフェラーズです。彼は開戦以前より付き合い、結婚を考えた日本人女性の安否を確かめる目的を同時に進めます。
このフェラーズの恋愛の部分がサブスクリプトになります。

マッカーサーは政策の一部として天皇を戦犯として断罪すべきでないと考えます。それは日本人の天皇崇拝を鑑みての事で、断罪が全く今後の政策に利を生まないと確信するからです。
が、連合側の上層部は断罪推奨派が大多数を占めます。それを覆すだけの証拠が必要だったワケです。

しかし証人達は誰一人として証拠を提示しません。再三にわたりフェラーズが天皇を戦犯にしない為には、確たる証拠が必要なのだと解きますが、それでも理論的な証言や証拠は見つからないです。
天皇を裁きたくないにも関わらず、積極的に証言しようとしない日本側を理解できないまま、フェラーズもマッカーサーも刻限を迎えます。
そしてあの天皇との会見に至ります。

史実として知っている流れから逸脱することなく、物語は淡々と進んで行きます。特別な見せ場もなく、証人として語る人々も妙な脚色をされないまま、登場してはその役割を終えるとスクリーンから消えていきます。

結局、フェラーズもマッカーサーも天皇と言う存在の意味や、日本人にとっての天皇の意義を全く理解できずにいます。謎は謎のまま終る映画です。

じゃぁ何が良かったんだよ?と思われたら、自分は兎に角一度見てくださいよ…としか言えません。丁寧に作られた全ての事象がラストで一つのドラマを生みます。なので、そこは自分の目で見て欲しいです。

終戦直後の東京の風景がかなり克明に描かれます。まぁ、細かい所をほじくり出して「皇居を背に日比谷方面を見た時、あんな背の高いビルが建ってる筈がない」とか言うのは野暮なので黙っておきますw
あ、木戸幸一役の伊武雅刀がめっさめさ素敵っす!
あとは昭和天皇役の片岡孝太郎ちゃんに心の中で拍手喝采しました。

そうそう監督はピーター・ウェーバーですよ。そんで見終った時の感じが俺の大好きな「ラスト・エンペラー」に似てた!(べ、べつに…エンペラー萌えじゃないんだからね!)