伯爵降臨記念SSは三度目の誌切り直しをしてますw
カッチョイイ伯爵を目標にしたのですけど
ぜーんぜん思うように書けねぇーーーてな按配で
やっぱ書きやすい伯爵にします(^_^;)
で、書いたけど気に入らなかったり、続かなかったりで
途中で没ったヤツを自分への戒めに晒しておきます
一個が新婚ネタ、もう一個はパリネタです。
どっちもベル伯です。
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新婚没ネタ
僅かに開いた窓の隙間から宵闇の風が入る。真昼はもう春とは呼べない陽射しが落ちる。だが砂漠からの熱風は届かない。まだ乾燥した鮮やかな暑さだけがあった。そして夕刻を迎え、煌めく陽の光が失せると、肌に冷たさを残す風が吹き出す。外に出るなら、薄手の上着が必要だ。でも生活の温度がある室内なら、細く開いた窓からそっと吹き入るその冷ややかさが心地よい。伯爵は寝室へ入り、微かな風の感触に柔らかく口元をゆるめた。夜の大気を感じ、心地よさを覚える季節になったのだ。時は確かに流れている。ここへ来て、三つ目の季節が間もなく訪れる。
寝台の端へ腰を下ろし、伯爵はぼんやりとした面相で自身の足下を見る。もう数分もせず廊下をこちらへ向かう靴音がするだろう。一度寝室の前を通り越し、玄関からロックを確認する微音が聞こえ、それが再びこの部屋へ戻ってくるのを伯爵は待っていた。すると廊下の端、リビングの辺りから靴音が鳴った。家の中は音が少ない。居住区の夜はひどく静かで、時折遠方を走る車の音が低く届く。其れ以外はなにもなかった。伯爵以外の人間が発てる、規則正しい靴音だけが、ただコツコツと静謐の中に響いた。
男は無駄のない仕草で玄関を確認する。そして兵隊のような動きで廻れ右をし、通り過ぎてきた扉の一つへ向かう。そこは寝室だ。ドアを開けると嘗て彼の主であった人が居る。窓の外を見ているだろうか、ベッドサイドの灯りで本を読んでいるかも知れない。ドアノブの発てる乾いた音を拾うと、その人は戸口を見る。そしてずっとそうしてきたように、もう従者ではなくなった男へ労いを述べる。ゆったりとした声音で、とても穏やかな表情で、ご苦労だったと一言を手向ける。
ベルッチオをドアの前で一度迷う。未だに手が眼前のそれをノックしようとするのだ。自分の家の最もプライベートな自身の寝室へ入るのに、確認の合図を送るのはおかしなことだと自覚している。だから迷う。そして一呼吸をおき、静かにドアノブを廻す。癖なのだろうと思う。ずっとそうしてきたのだから、躯が無意識に動いてしまうのだ。今も彼は半瞬の間をおいた。ピクリと動く腕の反応に苦笑し、それからゆっくりとドアを開けた。
寝台の端へかける伯爵が戸口を見る。
「どうか…されましたか?」
何もせず所在なさげに座っていたことへ、ベルッチオは気遣いをむける。
「風が心地よかったのだ…。」
細く開く窓の隙間から、宵の風は確かに涼やかさを運び入れていた。
「では、未だこのままで…。」
薄布に重ね、地厚の帳を引くだけに留めようとする男へ潜めた声が言う。
「いや、窓も閉じてくれ…。」
勘の良い男だ。即座に言われた意味を悟る。帳から離れた手が窓を閉じる。しっかりと、隙間なく、屋内の些細な音も外へと漏れないほどに。
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パリ没ネタ
シーツに両腕を縫い止める。薄青い手首に褐色の指が絡み付き、純白の布地へ押しつける様は、とても扇情的で淫猥に見える。拘束される人が、組み敷く男の半分より更にほっそりとした体格だから、余計に厭らしく見えるのかも知れない。男の肢体は鋼を思わせる。無駄な飾りを一切捨てた、鋼鉄を皮膚としてまとっているかだ。薄暗がりの室内で、仄かに入る白んだ明かりに浮き上がる男の肉体は、ひどく猛々しく、凶悪な獣を連想させる。覆いかぶさる風に仰臥する体へ屈みこみ、一所だけ色を変えた胸の尖りを舐める様は、捕らえた獲物を食らう野獣以外のなにものでもなく、だから下になる人が殊更哀れに映った。
濡れた紅色が閃く。それは男の舌だ。窄め、堅さを身につけた舌が青白い肌に触れる。既に何度も舐めあげて、欲情のしこりで勃ち上がった朱色の突起を腹に近い辺りから滑らせる舌でヌルと刺激した。
「っ…。」
音にもならない微音が漏れる。口吻はひき結んでいる。それは鼻先から吐出する、細い呼吸に混じって大気へ放たれた。男は察する。理性が溶け始めているのだと。感性が情欲を拾いだしている。頑なさが解れるのは、あと幾らも先ではない。
低い天井に開く四角い穴。まがい物の天から降り注ぐ明かりを入れる窓。そこから今落ちるのは軋む耳障りな機械音。大気を掻き混ぜる巨大な羽が、止まることなく廻り続ける撹拌の音(ね)だ。時刻は夜半を過ぎる。見上げれば、明かり取りの穴からは、漆黒と白んだ光と天の綻びめいた星が覗く。それらも全て作り物で、ここには真実など欠けらも存在しないと知らしめる。しかし室内に鳴り続ける音は本当だ。僅かな現実を確かにする濡れそぼったそれは、唾液を滴らせる男が、飽きずになめらかな肌を舐め続ける証だった。肉厚の口唇が乳首へむしゃぶりつく。前歯の薄さが尖りの根元へ埋まる。
「あぁ…っ…。」
予感より鮮烈な痛みを伴う刺激に思わず声が上がる。
「ん…ぁ…。」
間をおかず、窄めた舌先が小さな粒を押し潰す。そして捏ねる仕草で幾度も擦った。
「やめ…っ…。」
制止を吐息に混ぜて吐き出すのは、最前から執拗に胸ばかりを弄ぶ男への叱責だった。
他へは触りもしない。触れているのは、押さえる手首と胸の突起。口吻への口付けすらないというのに、投げ出す両足の付け根、髪と同色の淫毛から勃ちあがるペニスは少し前から、澄んだ体液をじくじくと滲ませている。
「そこは…もう…充分……だ。」
焦れたように身悶える伯爵は、少々苛立った声音で従者を嗜めた。
「畏まりました。」
皮膚から離れる口唇がそれを発した。厳かで、恭しい言い回し。男は自身の立ち位置をしっかりと自覚している。だから命じられた通り、散々に弄んだ肉体の一部を解放した。するとうっそりと綻んだ口元が動き、今ひとつの命が下る。
「手を…離せ。」
従者は慇懃に頷き、縫い止めた両の手首から静かに指を離した。
この部屋へ入るとすぐ、主は男へ接吻を施した。柔らかな物腰で、従者の首筋へ腕を廻し、口唇をゆるりと相手の口吻へ近づけた。男は戸惑いもせず応じる。そのまま深すぎる口づけが始まった。舌を絡め合う欲深い接吻は暫く続き、一度別れた口唇は数度啄むかに触れあい、従者が更に腕に納まる躯を抱き寄せるのを合図にして、交わった唇は更なる欲を求め、淫靡な音を垂れ流す貪りへと雪崩れていった。口づけたまま、ほっそりした指先が従者の服を緩め、それに応え男も主の衣装をくつろげた。間もなく衣服は大いに乱れ、どちらも単なる布地を僅かにまとうだけとなる。室内に置かれた簡素な寝台。彼らがそこへ縺れたまま身を投げたのは、しごく当たり前な流れに思えた。
剥き出しの胸へ舌を這わせる相手へ、伯爵は抑えた声音でこう言った。
「手を…押さえろ…。」
男は意味を問わない。すかさず手首を寝台へ押さえつけた。力は入れない。形ばかりの拘束だ。
「彼の者が…お前を拒まないとは限らぬから…。」
伯爵はその意味を伝える。男は深く得心する。主と肉体を供にする意志は、必ずしも自分を受け入れてはいないと、彼も理解していた。その為の拘束にしては、随分と穏やかなものに違いないが、形にすることが必要だと主が感じたなら、男が従うのは当然のことで、理由を問うつもりも持ち合わせてはいなかった。ゆるやかな行為の始まり。だが欲の熱は瞬く間に肉体を支配する。胸への施しだけで勃起した性器が、愉悦の強さを顕わにしていた。
すっかりと用意を調えた場所へ男は雄を押し込む。入り口は既に待ち焦がれていた。和らぎ、ヒクヒクと震え、膨張と剛健を満たす質量を将に迎え入れるばかりだった。それでも器官の狭さは如何ともしがたい。挿入の最初だけは、強引さで狭窄を割り開くしかなかった。
「うっ…んっ…。」
緊張と異物感と開かれるそれなりの苦痛が全身を支配する。呼吸でそれらを逃そうとなめらかな胸が大きく上下した。吸い込んだ大気を長く細く吐き出す。その繰り返しへ意識を集める。股間の屹立がこの時ばかりは力を逸する。でも間もなく訪れる心地よさが、再びそこへ熱を押し込めるのも判っていることだ。
猛々しくそそり立つ男のペニスが自身を侵蝕する、全身が粟立つ感覚に苛まれながら、伯爵は自戒とも自嘲ともつかないほろ苦さを感じる。SEXを従者へ求めることへの自省なのだと判っていた。この最も根元的な欲望を満たす行為。まして性を同じくする者同士での情事は、異常とは言わないまでも、決して誰憚ることなく公言すべき行いでないと自覚している。単独では成立しない性的な交わりを、決して拒絶しない相手と共有することで、己は密やかな安堵と確信を手にしたいのだと伯爵は思う。徐々に逸していく、自らの記憶や意思を、こうして誰かの内へ刻んでいく。信頼足る者へ身勝手に記していくのだ。相手の都合などお構いなく。勝手極まりない要求だと理解しても尚、それを止めないのは、忠誠を枷に従わせる家礼への異存だとも悟っていた。だから快楽の最中、腹の内で自らへの嘲笑が起こるのだろう。覚える愉悦が強ければ強いだけ、身の内の嘲りは高まる気がした。
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慣れない事はするもんじゃねぇなぁ〜と心底思いますた;;
しみず 2007年06月03日(日)00時34分 編集・削除
え、没なの?!
もったいない〜〜(>_<)
もったいないおばけが出るよう!
でもでも、じゃあ本チャンを期待してていいのね?
wktkで待ってま〜すV